チェコのある古書店が、新しいビジネスモデルで古本業界に革新を起こし、ヨーロッパ中に事業を拡大しています。
チェコは国民の読書量が多い国として知られています。2022年のEUの調査によると、国民の65%が年に5冊から10冊の本を読んでおり、これはEU平均の52%を大きく上回っています。
この背景には、新しい本だけでなく古本も高い人気があることが挙げられます。また、歴史的な理由もあります。チェコが社会主義国だった1948年から1989年の間、政府による検閲が行われ、「反体制的」と見なされた外国の書籍などは国内で手に入れることができませんでした。しかし、「アンティクヴァリアート」と呼ばれる古書店では、絶版になった本や発禁書、外国の書籍がひそかに売られており、人々は政府が認めた本以外のものを読むために利用していたのです。
近年の社会的な変化も、古本市場の成長を後押ししています。一つは若者の間で環境問題への関心が高まったこと、もう一つはCovid-19の流行を契機に、オンラインでの売買(電子商取引)が広く普及したことです。
このような社会的、文化的な変化を背景に、チェコの古書店「クニホボット」は中央ヨーロッパ市場を席巻しました。現在では西ヨーロッパにも販路を広げており、近年のチェコにおけるビジネスの大きな成功例の一つとされています。
「クニホボット(Knihobot)」という社名は、チェコ語で「本」を意味する語根“knih”と、チェコで生まれ多くのヨーロッパ言語で使われている接尾辞“robot”を組み合わせたものです。2019年に創業したクニホボットについて、チェコ・フォーブス誌は次のように報じています。
Knižní secondhand Knihobot letos zatím prodal tři miliony knih, o milion více než loni za stejnou dobu…V roce 2022 byl Knihobot podle žebříčku společnosti Deloitte patnáctou nejrychleji rostoucí firmou ve střední Evropě, v Česku pátou.
「クニホボット古書店は今年これまでに300万冊を売り上げており、昨年同期比では100万冊以上増加している。(中略)2022年のデロイト社発表のランキングでは、中央ヨーロッパ内で15番目、チェコ国内では5番目に急成長を遂げた企業として選出されている」
グローバルボイスは、プラハにあるクニホボットの販売責任者ジャネタ・クラトフヴィロヴァ氏にメールでインタビューし、利用者に便利な古書買取サービスが始まった経緯について話を聞きました。彼女の説明はこうです。
Vlastně vznikla přímo v antikvariátu. Zakladatel Knihobotu Dominik Gazdoš totiž ve svém rodném Zlíně provozoval nejprve antikvariát. Většinu knih tam přijímal z pozůstalostí, a tehdy mu došlo, že třídit svou knihovnu by měli lidé už daleko dřív.
Tím, že knihy často leží roky v přeplněných knihovnách nebo krabicích, se ničí a zastarávají. A proto vymyslel službu, která vše potřebné udělá za vás. (中略) Lidé rádi pošlou knihy dál, jen s tím nechtějí mít moc starostí.
Knihobot dnes dokáže díky automatizovaným procesům přijmout a zpracovataktuálně na 30 tisíc knih denně a kolem 25 tisíc denně zase prodat. (中略)
Pro zákazníka je to velmi pohodlné. A když máte dobrou službu, využijete digitální technologie a intenzivně pracujete, dokážete se prosadit všude.
「このサービスのアイデアは、創業者ドミニク・ガズドシュが故郷のズリーンで古本屋を経営していた時に生まれました。当時、買い取る本のほとんどが亡くなった人のものであり、彼は人々が生きているうちにもっと早く蔵書を整理する必要があると感じていました」
「本は書棚や箱の中で何年も眠っていることが多く、その間に傷んだり内容が古くなったりします。そこで彼は、本を売りたい人が面倒に感じる作業をすべて代行するサービスを考え出しました。本の写真を撮り、買い手と交渉し、包装して発送するといった一連の作業は大変な手間です。多くの人は本を次の読み手に届けたいと考えていますが、その手間をかけたくないのです」
「プロセスを自動化したことで、クニホボットは現在1日に約3万冊の本を受け入れ、約2万5千冊を販売しています。利用者の家から無料で本を回収し、写真撮影、価格設定、ウェブサイトへの掲載、そして新しい買い手探しまで、すべてクニホボットが行います」
「利用者にとって、これは非常に便利なサービスです。質の高いサービスとデジタル技術を組み合わせ、作業を効率化すれば、どこで事業を始めても成功できると考えています」
クラトフヴィロヴァ氏が語るように、クニホボットは現在9ヵ国(チェコ、スロバキア、オーストリア、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー)で事業を展開しています。彼女は、同社の成功の一因として、既存の古本業界が旧態依然としたままで停滞している点を指摘しました。