ナイジェリアのラゴスに住むヴィヴィアンさんは、家で仕事をしています。彼女の仕事部屋は寝室のとなりです。ヴィヴィアンさんはアメリカの新しい会社で運営マネージャーとして働いています。朝パソコンを開くと、アメリカやシンガポールなど、複数の国のチームから仕事のメッセージが来ています。彼女は会社に行きませんし、見ている上司もいません。停電が起きても、電気をためておく特別な機械があるので安心です。夜までに、ナイジェリアの法律で決められた最低賃金の12倍ものお金をアメリカドルで稼ぎます。ヴィヴィアンさんのように、国を越えてインターネットで働く新しい世代がアフリカで増えています。
ガーナの首都アクラに住むダイアナさんは、スマートフォンのアプリを使うタクシーの運転手です。朝早くから仕事を始めます。アフリカの多くの都市では、女性のタクシー運転手はまだ珍しいです。そのため、乗客はよく驚きますが、それがきっかけで楽しい会話が生まれることもあります。長い日は14時間も運転します。この仕事は、子どもの学校の予定に合わせて働く時間を自由に変えられるのが良い点です。しかし、ガソリン代や車の維持費は自分の負担です。アプリの会社に払う手数料は、収入の30パーセントになることもあります。それでもダイアナさんは「自分の方法で稼ぐことができる」と話します。
このような、会社に所属せずインターネットで短い仕事を見つける働き方を「ギグワーク」と呼びます。アフリカでは2015年ごろからスマートフォンの普及とともにギグワークが広がりました。2020年以降のコロナウィルスの影響で、この流れはさらに加速しました。世界銀行の推計によると、アフリカでは2,100万人以上がギグワークで収入を得ています。ギグワークには、ダイアナさんのような配達や輸送など対面の業務と、ヴィヴィアンさんのように国境を越えて働くデジタルな仕事があります。アフリカのギグワーカーは30歳未満の若者が多く、女性の割合も増えていて、今は約27パーセントを占めています。
シンディ・サリーさんも、ガーナでアメリカの会社のために働くギグワーカーです。彼女は会社の財務チームのリーダーをしています。彼女のオフィスは、いろいろな人が集まって仕事をする「コワーキングスペース」と呼ばれる場所です。彼女の同僚のほとんどは、実際には会ったことがなく、パソコンのモニターの中にいます。彼女もアメリカの時間に合わせて働き、ドルで収入を得ています。以前はガーナの地元の会社で働いていましたが、そこは非常に忙しい激務で、給料も不安定でした。そのため、シンディ・サリーさんは今の働き方が自分に合っていると感じています。