2022年11月、OpenAIという会社がChatGPTを発表はっぴょうして、AIブームが始まりました。そのころは、まだAIのルールや安全あんぜんのための対策たいさくがありませんでした。これからAIが世界せかいをどう変えるか、みんながたくさん予想よそうしました。「AIが人間にんげんの仕事しごとをうばう」「人間にんげんが新あたらしいものを作つくる力ちからは、もういらなくなる」などの意見いけんがありました。また、「チャットボットが人ひと々のコミュニケーションを助たすける」「政府せいふがAIを使つかって、公平こうへいな社会しゃかいを作つくる」という期待きたいもありました。それから3年ねん以上いじょうがたちました。AIは社会しゃかいをどう変えたでしょうか。教育きょういくの現場げんばでは混乱こんらんが起おこり、戦争せんそうでは人間にんげんがほとんどチェックしないままAIが使つかわれています。

2026年ねんになっても、AIの会社はお金かねをもうけるためのよいビジネスモデルをまだ見みつけられていません。しかし、AI業界ぎょうかいのトップの人ひとたちは、AIがまるで人間にんげんのようにすばらしいものだと話はなし続つづけています。このような会社の多おおくは、GoogleやMicrosoftのような大おおきなテック企業きぎょうと関係かんけいがあります。研究者けんきゅうしゃやジャーナリストは、AIについての話はなしが、私たちの不安ふあんや誤解ごかいを大おおきくしていると言いっています。例えば、AIの会社は「AIがたくさんのデータから『学習がくしゅう』した」と説明せつめいします。「学習がくしゅう」という言葉ことばは、システムが人間にんげんのように見みえるようにします。また、AIのまちがいを「ハルシネーション(幻覚げんかく)」と呼よびます。「幻覚げんかく」は人間にんげんに使つかう言葉ことばで、AIのまちがいはただの「エラー」です。研究者けんきゅうしゃの中なかには、AIの答こたえの25%から30%はまちがいだと考かんがえている人ひともいます。

このような言葉ことばの使つかい方かたのせいで、多おおくの人ひとはAIをコントロールできない危険きけんなものだと考かんがえるようになりました。AIを作つくっている会社のトップでさえ、すごいAIは危あぶないと心配しんぱいしていることも、人ひと々の見方みかたに影響えいきょうしました。AnthropicというAIの会社は、「クロード憲法けんぽう」という文章ぶんしょうを作つくりました。この文章ぶんしょうは、AIを人間にんげんのように扱あつかいすぎています。例えば、「クロード(AIの名前なまえ)は、自分じぶんのことを自由じゆうに考かんがえるべきだ」と書かいてあります。この表現ひょうげんは、AIがまるで心こころを持もっているようです。専門家せんもんかは、AIに特別とくべつな地位ちいをあたえると、人間にんげんの価値かちやルール、権利けんりが大切たいせつにされなくなる危険きけんがあると言いっています。

専門家せんもんかは、「AIは友達ともだちではありません。先生でも、親切しんせつなアシスタントでもありません」と言いいます。AIが作つくる文章ぶんしょうや声こえは、とても人間にんげんらしく聞こえますが、AIは「考かんがえる」ことも「人ひととつながる」こともできません。AIに「創造力そうぞうりょく」はありません。過去かこに学習がくしゅうしたデータから、統計的とうけいてきに一番いちばんありそうなパターンを出だすことしかできないのです。その仕組しくみは、人間にんげんの考かんがえ方かたや創造力そうぞうりょくとは、全まったく違ちがいます。このことを正ただしく理解りかいするため、私たちはAIについての言葉ことばの使つかい方かたを変かえる必要ひつようがあります。メディアは企業きぎょうの宣伝せんでんをそのまま伝つたえるのをやめ、政策せいさくを作つくる人ひとは、安全あんぜんや人間にんげんの権利けんりを尊重そんちょうすべきです。だから、「AIの時代じだいに、なぜ人間にんげんが大切たいせつなのか」という質問しつもんの答こたえは簡単かんたんです。それは、創造力そうぞうりょくや人ひととのつながりは、人間にんげんにしか作つくり出だせない、特別とくべつなものだからです。