この記事きじは、SciDev.Netの報道ほうどう(CC BY 2.0)をもとにした日本語訳やくです。ネパールで起きた大きな洪水こうずいは、高い土地とちの氷こおりと岩いわが崩くずれることから始まりました。専門家せんもんかは、災害さいがいへの備そなえは一つの出来事できごとだけでは足りず、つながる危険きけんにも備そなえる必要ひつようがあると指摘してきしています。先週、ネパールと中国の国境こっきょうの近くで氷こおりと岩いわと土砂どしゃが崩くずれ、ボテコシ川の支流しりゅうをせき止とめました。自然しぜんのダムができたあと、それが壊こわれて、下流かりゅうのラスワ郡ぐんへほとんど予告よこくなく押おし寄よせました。川のそばの村むらを襲おそい、橋はしや道路どうろや水力すいりょく発電はつでんの施設しせつが壊こわれました。チベットとの通り道も通れなくなりました。

国連こくれんが9月1日に出した数字すうじでは、死者ししゃは1000人を超こえました。行方不明ゆくえふめいの人はまだ約やく4000人で、救出きゅうしゅつされた人は約やく1万1800人です。数千すうせん人が人道じんどう支援しえんを必要ひつようとしていますが、壊こわれた道と橋はしが支援しえんを妨さまたげています。ヒンドゥークシュ・ヒマラヤでは、氷河ひょうがの崩くずれ、地滑じすべり、雪崩なだれ、川がふさがること、洪水こうずい、地震じしんが数時間でつながり、一つより大きくなることがあります。英国えいこくのレディング大学のリズ・スティーブンス教授きょうじゅは、鉄砲水てっぽうみずの原因げんいんは大雨だと思う人が多いと言いました。しかし、高い山では地滑じすべりや雪崩なだれや氷河ひょうがの湖みずうみの決壊けっかいなどがつながり、早く知らせることが難むずかしいのです。

アメリカのプラネット・ラボの衛星えいせい画像がぞうでは、国境こっきょうの高い場所ばしょで氷河ひょうがと岩いわが崩くずれ、氷こおりと雪と土砂どしゃが谷たにへ動きました。支流しりゅうのレンデ・コラが影響えいきょうを受うけたとみられています。災害さいがいリスク統合とうごう研究けんきゅう(IRDR)は、8月28日に早い分析ぶんせきを出しました。原因げんいんは強つよい雨ではなく、氷こおりと岩いわと土が大規模だいきぼに崩くずれたことである可能性かのうせいが高いとしました。川を約やく18〜19時間ふさいだあと、8月26日の朝にダムが壊こわれました。そして、水と氷こおりと岩いわと土砂どしゃが流ながれ、狭せまい谷たにと土砂どしゃが壊こわす力ちからを大きくしました。中国の国営こくえい放送ほうそうCCTVは、長い間の地球ちきゅう温暖化おんだんかで氷河ひょうがが不安定ふあんていになり、チベット高原こうげんの雪と氷こおりの災害さいがいの新あたらしい特徴とくちょうになったと伝つたえました。普通ふつうの警報けいほうは雨や川の水位すいいを見ますが、連鎖れんさは数キロ離はなれた高い場所ばしょで始まります。下流かりゅうでは、はっきりした予兆よちょうがありません。国際こくさい総合そうごう山岳さんがく開発かいはつセンターのサスワタ・サンヤル氏しは、危険きけんを一つずつ評価ひょうかする方法ほうほうはもう通用つうようせず、一つの危険きけんに備そなえる時代じだいは終わったと言いました。

同じ川では約やく1年前にも洪水こうずいがあり、2025年7月の洪水こうずいは氷河ひょうがの湖みずうみの決壊けっかいと関係かんけいがあると当局とうきょくは考えました。再ふたたび起きたことで、この川が雪と氷こおりの危険きけんを受うけやすいかどうかが問とわれています。ICIMODの2026年の評価ひょうかでは、この地域ちいきの氷河ひょうがは1990年から2020年までに面積めんせきの約やく12%を失うしない、減へる速はやさは2000年以降いこうに2倍ばいになりました。氷河ひょうがが下さがると湖みずうみができ、斜面しゃめんは氷こおりの支ささえを失うしない、凍こおった土も不安定ふあんていになります。崩くずれが岩いわと土を巻まき込こむと、数十すうじゅうキロの土石流どせきりゅうになることがあります。4月の研究けんきゅうは、気温きおんと雨の変化へんかで、山にぶら下さがる氷河ひょうがが不安定ふあんていになり、氷こおりの雪崩なだれが増ふえるとしました。インド北部ほくぶのアラカンダ流域りゅういきでは、ぶら下さがる氷河ひょうがが219以上いじょうあり、崩くずれが被害ひがいや氷河ひょうがの湖みずうみの決壊けっかいを起こすと警告けいこくしました。別べつの研究けんきゅうは、氷こおりと岩いわの雪崩なだれが速はやい土石流どせきりゅうに変かわり、前触まえぶれは見つけにくいとしました。トリブバン大学のバサンタ・ラジ・アディカリ氏しは、8月26日の洪水こうずいは今までにない規模きぼだと言いました。「広島ひろしまの原爆げんばくよりエネルギーが大きい」とも述のべました。

ヒンドゥークシュ・ヒマラヤは、アフガニスタン、パキスタン、インド、ブータン、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、チベット高原こうげんに広ひろがっています。国境こっきょうを越こえる川が、人々ひとびとをつないでいます。2021年のチャモリ災害さいがいでは、ウッタラカンドの崩くずれがリシガンガ渓谷けいこくを襲おそいました。200人以上いじょうが亡なくなり、水力すいりょく発電はつでんの施設しせつが壊こわれました。ブータンとネパールは氷河ひょうがの湖みずうみを監視かんししています。パキスタンでは、洪水こうずいと地滑じすべりと雪崩なだれが重かさなります。国連こくれん開発かいはつ計画けいかくは、気候きこうの影響えいきょうが食料しょくりょうと水とエネルギーへつながり、一つの危険きけんより大きい問題もんだいになると警告けいこくしました。衛星えいせいは、氷河ひょうがの形かたちや新あたらしい湖みずうみ、地滑じすべりの跡あと、川がふさがった場所ばしょ、水路すいろの変化へんかを後から知しるのに役立やくだちます。当局とうきょくは、上流じょうりゅうにできた新あたらしい湖みずうみも監視かんししています。しかし、起きた後に分かることと、起きる前に予測よそくすることは違ちがいます。ネパールのイシュファク・アハマド氏しは、危険きけんな湖みずうみは目と衛星えいせいで分かるが、壊こわれる瞬間しゅんかんは予測よそくしにくいと言いました。落石らくせきや氷こおりの崩くずれは速はやすぎて、衛星えいせいでは事前じぜんに捉とらえられません。雲くもや、観測かんそくと観測かんそくの間の時間も、見えない空白くうはくを作ります。高い土地とちでは、地上ちじょうの計器けいきを維持いじすることも難むずかしいです。科学者かがくしゃは、衛星えいせい、地震計じしんけい、水位計すいいけい、自動じどうカメラ、天気予報よほう、氷河ひょうがの監視かんし、地域ちいきの警報けいほうを一緒いっしょに使うことを求もとめています。ICIMODは、十分じゅうぶんに監視かんしされている氷河ひょうがは一部いちぶだけだと言っています。見えない場所ばしょが広ひろく、データを良よくして行動こうどうにつながる情報じょうほうを求もとめています。