この せかい には いろいろな ひと が います。 あなた の となり にも いろいろな ひと が います。 おとこ の ひと が います。 おんな の ひと が います。 でも、それだけ では ありません。 からだ は おとこ です。 でも、こころ は おんな の ひと が います。 からだ は おんな です。 でも、こころ は おとこ の ひと も います。 こころ が おとこ に なったり、おんな に なったり する ひと も います。 この かんがえ は、あたらしい かんがえ では ありません。 とても とても むかし から、せかいじゅう に ありました。 さあ、その はなし を はじめます。
まず、むかし の せかい の はなし です。 いろいろな くに で、おとこ でも おんな でも ない ひと が いました。 みんな は その ひとたち を たいせつ に しました。 その ひとたち は うた を うたう のが じょうず でした。 おどり を おどる のも じょうず でした。 みんな は いっしょに たのしく すごしました。 でも、ある とき、ちがう かんがえ の ひとたち が きました。 その ひとたち は いいました。 「ひと は おとこ と おんな だけ です。」 「ほか の かんがえ は まちがって います。」 そう いって、いろいろな こころ を もつ ひと を だめだ と いいました。 だから、その ひとたち は かなしい きもち に なりました。 じぶん の ほんとう の こころ を かくす ように なりました。 でも、いなく なったのではありません。 ずっと ずっと、そこに いたのです。
むかし の はなし の なか にも、その しょうこ が あります。 たとえば、いんど の かみさま の はなし です。 とても ふしぎな かたち の かみさま が います。 その かみさま の からだ は、はんぶん が おとこ です。 もう はんぶん は おんな です。 みぎがわ は おとこ の かみさま です。 ひだりがわ は おんな の かみさま です。 みぎて は つよい おとこ の て です。 ひだりて は やさしい おんな の て です。 ひとつの からだ に、おとこ と おんな が いっしょに います。 おとこ の ちから も、おんな の ちから も、どちら も すばらしい。 そういう いみ が あります。 ほか にも、おうじさま の はなし が あります。 おうじさま が たび に でる とき、いいました。 「おとこ の ひと も おんな の ひと も、まち に かえりなさい。」 でも、かえらない ひとたち が いました。 その ひとたち は、おとこ でも おんな でも なかった からです。 おうじさま は、その ひとたち を とても ほめました。
ほとけさま の はなし にも、おなじような はなし が あります。 ほとけさま は、こまっている ひと を たすけて くれます。 ある やさしい ほとけさま が います。 その ほとけさま は、はじめは おとこ の かたち でした。 でも、べつ の くに に いく と、だんだん おんな の かたち に かわりました。 やさしい おかあさん のような すがた に なりました。 なぜ、かたち が かわる のでしょうか。 それは、どんな ひと でも たすける ため です。 くるしんで いる ひと の こえ を ききます。 そして、すぐに その ひと の ところ へ いきます。 おとこ の ひと が こまって いたら、おとこ に なります。 おんな の ひと が こまって いたら、おんな に なります。 こども が ないていたら、やさしい おかあさん に なります。 いつでも、だれでも たすける ために、いろいろな かたち に なるのです。
せかいじゅう の むかしばなし には、この かんがえ が のこって います。 ひと は おとこ と おんな の ふたつ だけ では ありません。 ひと には いろいろな からだ が あります。 いろいろな こころ が あります。 あなた の こころ と わたし の こころ は ちがいます。 それは、あたりまえ の こと です。 ふつう の こと です。 むかし の ひと は、それを しっていました。 でも、ある とき から、その かんがえ は わすれられました。 でも、けっして なくなりませんでした。 むかし の はなし の なか で、ずっと いきて いました。 そして、いま、わたしたち は もういちど しる こと が できます。 せかい には おとこ の ひと が います。 おんな の ひと も います。 そして、ほかにも たくさん の こころ の ひと が います。 それは、むかし も いま も、かわらない こと なのです。