チョコレートの原料になるカカオが、最近あまりとれなくなっています。ある新しい研究で、その一番の原因は、とても激しい雨だということがわかりました。これまでは、地球の気温が上がることが大きな問題だと考えられていましたが、大雨のほうがもっと深刻な問題かもしれません。世界にはカカオを育てて生活している農家が約600万人います。カカオの収穫が減ると、この人たちの生活が苦しくなってしまいます。
なぜ大雨がカカオに悪いのでしょうか。研究チームがガーナやエクアドルなどで調べたところ、3つの理由がわかりました。まず、強い雨がカカオの繊細な花やまだ小さい実を傷つけてしまいます。また、カカオの実ができるためには小さな虫が花粉を運ぶ必要がありますが、大雨はその虫の活動をじゃまします。さらに、空気がしめりすぎるとカビの病気、特に「黒腐病」という病気が広がりやすくなります。
このようなひどい大雨は、「エルニーニョ現象」という大きな気候の変化と関係があることが多いです。エルニーニョ現象が起こると、南米のエクアドルなどでは雨がとても多くなります。世界のカカオ生産の約7割をしめる西アフリカでは、エルニーニョ現象がない時でも、雨の季節に降る雨の量が年々増えています。このような雨の変化が、収穫に深刻な影響を与えています。
しかし、専門家たちは、農園の管理を工夫すれば被害を減らせると言います。例えば、病気に強い種類のカカオを選んだり、木の枝を定期的に切って(剪定)、風の通りをよくしたりすることが大切です。また、低い土地では、雨が降った後に水がたまらないように、水を外に流す設備(排水)を準備することも重要です。このような管理ができていない農園は、大雨の影響をより大きく受けてしまいます。
そこで研究チームは、農家を助けるための「警報システム」が役に立つと考えています。大雨がいつ降るかを事前に予測し、農家に知らせるのです。この情報があれば、農家は雨が降る前に、枝を切ったり、病気を防ぐ薬をまいたり、排水の準備をしたりすることができます。このような早めの対策が、大切なカカオを被害から守るのです。