世界銀行は、インドでとても貧しい人が大きく減ったと発表しました。2011年には27.1%だった貧困の人の割合が、2.6%になったというのです。しかし、これについて専門家は「本当だろうか」と疑問を持っています。その理由は、調査の方法とインドの今の経済の状況が合わないからです。
世界銀行の発表の根拠は、インドの政府が2022年から2023年に行った調査です。この調査の方法は、前と大きく変わりました。今までは1回だけだった家への聞き取り調査が、何回かに増えました。そして、政府が無料で配った食料なども、家族の消費(使ったお金)として計算するようになりました。この新しい方法では、実際よりも消費が多く見えるかもしれません。そのため、貧困の人が少なくなったように見えるのだと専門家は指摘しています。
また、貧困が大きく減ったという見方は、最近の経済の状況とも合いません。インド経済の成長は、2014年までは毎年7.8%でしたが、その後は6.2%に遅くなりました。経済の力になる貯蓄や投資も減っています。2016年に高い金額のお札を使えなくしたり、コロナウイルスのために町を閉鎖したりしたことは、個人で働く人や小さな会社にとって大きなダメージになりました。その結果、お金持ちと貧しい人との格差が広がっています。
仕事の状況も変わりました。以前は、多くの人が農業からもっと給料の高い他の仕事に移っていました。しかし最近は、都会で仕事をなくした人が村に帰って、再び農業をすることが増えています。特に女性が、給料をもらわずに家族の農業を手伝うケースが増えています。実際に、2017年から本当の賃金(給料)はほとんど上がっていません。たくさんの若者が働くための新しい仕事も足りていない状態です。
これらのことを考えると、2015年からのインドでは貧困が減るペースは遅くなった、と専門家は見ています。貧しい人が減った可能性はありますが、世界銀行が言うように「劇的に」減ったと言えるほどの、信頼できるデータはまだないのです。