2024年に発行が開始された新しい1万円札を偽造し、それを使ってコンビニエンスストアで商品を購入したとして、警視庁は東京都台東区に住む男を逮捕した。男は容疑を認めているという。新紙幣の偽造事件で逮捕者が出るのは全国で初めてのことである。
逮捕されたのは、台東区に住む無職の斎藤瑞樹容疑者(27歳)である。斎藤容疑者は2月10日、東京都新宿区のコンビニで、たばこと飲み物合わせて690円相当の商品を偽造した1万円札で支払った疑いが持たれている。その際、応対した店員が紙幣に触れたところ違和感を覚え、警察に110番通報したとのことだ。
新しい紙幣には、偽造を防止するため、見る角度によって肖像の顔が動く「3Dホログラム」という技術が採用されている。この技術が、今回の偽札を発見するきっかけとなった。店員は斎藤容疑者から受け取った紙幣と、手元にあった本物の紙幣を比較し、ホログラムがないことや、光に透かしても透かし模様が見えないことを見抜き、警察に通報したという。
斎藤容疑者は警察の取り調べに対し、「自分がやったことです」と容疑を認めている。警視庁捜査第2課が斎藤容疑者の自宅を捜索したところ、家庭用プリンターのほか、印刷されたとみられる新しい1万円札と5000円札の偽札が合わせて50枚以上発見された。同課は、斎藤容疑者が自宅でこれらの偽札を製造したとみて捜査を進めている。また、都内では2月以降、コンビニやタクシーでこの偽造新紙幣が使われた被害が複数確認されており、警察は今回の事件との関連を含め、余罪についても追及している。
新しい紙幣は、2024年7月3日に20年ぶりに導入・発行されたが、その主な目的は偽造防止である。実際に、日本国内で偽造された紙幣は2023年に681枚、2024年には2,723枚が確認されており、偽造通貨の認知件数も2023年に227件に上り、31人が逮捕されるなどの摘発を受けている。このような偽造を防ぐため、新紙幣には旧紙幣と同様に、カラーコピー機では再現できないような微細な文字が印刷されている。さらに、図柄や金額の文字を触ると凹凸を感じる「深凹版」技術や、より精密な透かし模様、そして肖像が立体的に見える「3Dホログラム」など、世界の紙幣で初めて採用された高度な偽造防止技術が盛り込まれている。偽造通貨を使用した場合には、最高で無期懲役という重い刑罰が科される可能性がある。