ソマリアの社会しゃかいでは、「氏族しぞく」というお父とうさんからつながる血ちのグループがとても大切たいせつです。昔むかしは、氏族しぞくの問題もんだいは「シル」という集会しゅうかいで解決かいけつしていました。シルでは、年上としうえの男性だんせいたちが話し合はなしあって、うそや悪わるいウワサが広ひろがらないようにしていました。しかし、ソマリアの政府せいふがなくなってから、たくさんの人ひとが外国がいこくへ引越ひっこしました。そして、スマートフォンでコミュニケーションをとるのが普通ふつうになりました。TikTokのようなアプリができて、国くにの外そとにいる氏族しぞくともつながれるようになりましたが、これが新あたらしい問題もんだいを生うんでいます。

TikTokが登場とうじょうしてから、ソマリアの社会しゃかいは大おおきく変かわりました。これまで氏族しぞくの政治せいじについて話はなす機会きかいがなかった若者わかものや女性じょせいも、オンラインで自分じぶんの意見いけんを言いえるようになりました。これは良よい変化へんかです。しかし、悪わるい変化へんかもあります。若者わかものの中なかには、ライブ配信はいしんなどで、ほかの氏族しぞくとの対立たいりつを大おおきくするようなことを言いう人ひとが出でてきました。彼かれらは自分じぶんの氏族しぞくの旗はたを見みせたり、特別とくべつな言葉ことばを使つかって話はなしたりします。そして、「クランバトル」と呼よばれる氏族しぞくどうしのオンラインゲームが人気にんきになっています。

「クランバトル」は、それぞれの氏族しぞくのインフルエンサー(有名ゆうめいな人ひと)がオンラインで戦たたかうゲームです。彼かれらは、どちらの氏族しぞくが優すぐれているかを競きそいます。応援おうえんする人々ひとびとは、相手あいての氏族しぞくの悪口わるぐちを言いい、デジタルコインというお金かねを送おくって自分じぶんの氏族しぞくを応援おうえんします。このゲームはビジネスにもなっています。しかし、もっと深刻しんこくな問題もんだいがあります。クランバトルで集あつまったお金かねは、ソマリアでの実際じっさいの紛争ふんそう(戦争せんそう)の資金しきんとして使つかわれていることがあるのです。実際じっさいに2023年ねんの紛争ふんそうでは、このゲームで集あつまったお金かねが両方りょうほうのグループに送おくられました。これはとても危険きけんなことです。

なぜソマリアの人ひとたちはTikTokをそんなに使つかうのでしょうか。一つの理由りゆうは、使つかい方かたがとても簡単かんたんで、字じが読よめなくても動画どうがを作つくったりシェアしたりできるからです。また、TikTokの「おすすめ」のシステムも関係かんけいしています。このシステムは、見みる人ひとの笑わらいや怒いかり、プライド(自尊心じそんしん)などの感情かんじょうを強つよく動うごかす動画どうがをたくさん見みせます。ソマリアでは、氏族しぞくについての話はなしが一番いちばん人ひとの気持きもちを動うごかします。ですから、誰だれかが氏族しぞくの動画どうがをいくつか見みると、TikTokはもっとたくさんの同おなじような動画どうがをおすすめします。これが、氏族しぞくの対立たいりつをさらに大おおきくする原因げんいんになっています。

TikTokは、ソマリアの社会しゃかいに悪わるい影響えいきょうも与あたえています。たとえば、子こどもたちが学校がっこうで、ネットで覚おぼえたほかの氏族しぞくをばかにする言葉ことばを使つかうようになりました。昔むかしは、人ひとの前まえでほかの氏族しぞくを侮辱ぶじょくすることは悪わるいことだと考かんがえられていました。しかし、今いまは気きにしない若者わかものが増ふえています。「TikTokのせいで家族かぞくの関係かんけいが悪わるくなった」と話はなす人ひともいます。TikTokはもともと、音楽おんがくや文化ぶんかを通とおして、世界中せかいじゅうのソマリア人じんをつなげる素晴すばらしいアプリでした。しかし今いまは、昔むかしから続つづく氏族しぞくの社会しゃかいをより強つよくし、時ときには人々ひとびとを危険きけんにする場所ばしょに変かわりつつあります。