「いろいろな性せいのあり方かた」という考かんがえは、新あたらしいものではありません。また、ヨーロッパやアメリカだけの考かんがえでもありません。実じつは、世界中せかいじゅうのたくさんの文化ぶんかに、「男おとこ」と「女おんな」だけではない性せいの歴史れきしがあります。このような、性せいが変かわったり、男おとこと女おんなの区別くべつがはっきりしなかったりすることは、世界中せかいじゅうの昔話むかしばなしや宗教しゅうきょう、神話しんわの中なかにもたくさんあります。物語ものがたりの中なかでは、性別せいべつのない神様かみさまや、男おとこと女おんなの両方りょうほうの体からだを持もつ神様かみさまが出でてきます。

昔むかし、ヨーロッパの国くにが他ほかの国くにを支配しはいする前まえは、世界中せかいじゅうの文化ぶんかでいろいろな性せいを持もつ人々ひとびとが認みとめられていました。例たとえば、北きたアメリカのネイティブアメリカンや、オーストラリアの島しまの人ひとたちの文化ぶんかです。しかし、ヨーロッパの国くにが世界せかいのいろいろな場所ばしょを支配しはいするようになりました。そして、「性別せいべつは男おとこと女おんなの二ふたつだけ」というキリスト教きょうの考かんがえが広ひろまりました。その結果けっか、たくさんの神話しんわが消けされたり、物語ものがたりが変かえられたりしました。いろいろな性せいを持もつ人々ひとびとは、自分じぶんの性せいを隠かくして生いきなければなりませんでした。

でも、昔むかしからの物語ものがたりの中なかには、いろいろな性せいのあり方かたが残のこっています。インドのヒンドゥー教きょうには、アルダナーリーシュヴァラという有名ゆうめいな神様かみさまがいます。この神様かみさまは、神かみシヴァとその妻つまの女神めがみパールヴァティが一ひとつになった姿すがたです。体からだの右半分みぎはんぶんが男おとこで、左半分ひだりはんぶんが女おんなとして描えがかれます。これは、男おとこと女おんなのエネルギーが調和ちょうわすることの大切たいせつさを表あらわしています。また、ヒンドゥー教きょうの古ふるい物語ものがたりの中なかにも、性せいが変かわる話はなしがたくさんあります。例たとえば、強つよい戦士せんしが女おんなの姿すがたになってダンスを教おしえたり、「第三だいさんの性せい」と呼よばれる人ひとたちの始はじまりの話はなしが出でてきたりします。

仏教ぶっきょうの神話しんわにも、性せいが変かわる話はなしがあります。有名ゆうめいな観音菩薩かんのんぼさつ(観音様かんのんさま)は、苦くるしむ人々ひとびとを助たすける仏様ほとけさまです。観音様かんのんさまは、もともとインドでは男おとこの姿すがたでした。しかし、その教おしえが中国ちゅうごくに伝つたわると、姿すがたが変かわっていきました。古ふるい仏教ぶっきょうの本ほんには、観音様かんのんさまは人々ひとびとを助たすけるために、女性じょせいや少女しょうじょなど、たくさんの異ことなる姿すがたに変かわると書かかれています。そのため中国ちゅうごくでは、だんだん女性じょせいのような顔かおや体からだを持もつ仏像ぶつぞうが作つくられるようになりました。そして最後さいごには、完全かんぜんに女性じょせいの姿すがたになりました。