イランをめぐる問題もんだいが、新あたらしい段階だんかいに入はいっています。多おおくの人ひとが、ホルムズ海峡かいきょうという場所ばしょを心配しんぱいしています。ホルムズ海峡かいきょうは、中東ちゅうとうから世界せかいへ石油せきゆを船ふねで運はこぶときに通とおる、とても狭せまくて重要じゅうような海うみの道みちです。しかし、問題もんだいはそれだけではありません。もう一ひとつの大おおきな問題もんだいは、お金かねのやりとりをする「金融きんゆうシステム」です。これもアメリカとイランの争あらそいの場所ばしょになっています。最近さいきん、世界せかいで一番いちばん石油せきゆを輸出ゆしゅつしているサウジアラビアで、石油せきゆを送おくるパイプラインが攻撃こうげきされました。このパイプラインは、ホルムズ海峡かいきょうを通とおらない安全あんぜんなルートだと思おもわれていました。この事件じけんで石油せきゆの価格かかくは3%も上あがりました。さらにホルムズ海峡かいきょうでも船ふねが攻撃こうげきされて火事かじになりました。これらの出来事できごとは、大切たいせつな石油せきゆルートとその代かわりのルートの両方りょうほうが危険きけんなことを示しめしています。

軍事的ぐんじてきな緊張きんちょうと同時どうじに、アメリカからの経済的けいざいてきな圧力あつりょくも再ふたたび強つよくなりました。アメリカは、イランがお金かねを不正ふせいに送おくるのを手伝てつだった会社かいしゃにペナルティを科かしました。イランはアメリカから厳きびしいペナルティを受うけているため、普通ふつうの方法ほうほうで外国がいこくと貿易ぼうえきができません。そこで、イランは「影かげの銀行ぎんこうシステム」と呼よばれる秘密ひみつのネットワークを使つかっていました。アメリカ政府せいふは、このネットワークが何億なんおくドルものお金かねを動うごかすのを手伝てつだったと考かんがえています。ドバイや香港ほんこんなどにある会社かいしゃがペナルティの対象たいしょうになりました。アメリカの財務長官ざいむちょうかんはこれを「経済的けいざいてきに追おい出だす作戦さくせん」と呼よんでいます。この作戦さくせんの目的もくてきは、イランがペナルティを逃のがれるための「抜ぬけ穴あな」を塞ふさぐことです。つまり、アメリカの戦略せんりゃくは、お金かねが流ながれるルートをより厳きびしく管理かんりするものに変かわったのです。

お金かねの流ながれを止とめるという方法ほうほうは、昔むかしから行おこなわれてきました。1979年ねん、イランでアメリカ大使館たいしかんが占拠せんきょされたとき、アメリカは国内こくないにあるイラン政府せいふのお金かねを凍結とうけつしました。これがイランへの金融きんゆうペナルティの始はじまりです。時代じだいが進すすむと、ペナルティの対象たいしょうはお金かねそのものから、お金かねを送おくるための「ルート」に変かわりました。その中心ちゅうしんにあるのが「SWIFT」という組織そしきです。SWIFTは、世界中せかいじゅうの銀行ぎんこうがお金かねを送おくるときの指示しじを伝つたえる国際的こくさいてきなネットワークです。このシステムは世界せかいの金融きんゆうに欠かかせないため、SWIFTからある国くにを排除はいじょすることは、その国くにの経済けいざいに大おおきなダメージを与あたえます。

アメリカはSWIFTに大おおきな影響力えいきょうりょくを持もっています。2018年ねんにアメリカがイランとの核かくに関かんする合意ごういから抜ぬけたとき、この問題もんだいは大おおきくなりました。アメリカはイランに厳きびしいペナルティを再ふたたび科かし、SWIFTにもイランの銀行ぎんこうへのサービスを止とめるよう強つよく求もとめました。ヨーロッパの国々くにぐにはアメリカのやり方かたに反対はんたいしましたが、SWIFTは「もしイランとの取引とりひきを続つづけるなら、SWIFT自体じたいもアメリカからペナルティを受うけるかもしれない」と警告けいこくされ、結局けっきょくアメリカの圧力あつりょくに従したがいました。これにより、イランの銀行ぎんこうは国際的こくさいてきな金融きんゆうシステムからほとんど切きり離はなされてしまいました。ヨーロッパはSWIFTを使つかわない新あたらしい貿易ぼうえきの仕組しくみを作つくろうとしましたが、この試こころみはうまくいきませんでした。

ホルムズ海峡かいきょうが重要じゅうようなのは、地理的ちりてきな理由りゆうからです。イランが軍ぐんの力ちからでこの海峡かいきょうを封鎖ふうさすれば、世界せかいの経済けいざいはとても困こまります。しかし、もっと静しずかで目めに見みえにくい「チョークポイント(重要じゅうような場所ばしょ)」があります。それが金融きんゆうネットワークです。SWIFTのようなネットワークが重要じゅうようなのは、経済的けいざいてきな理由りゆうからです。代かわりのシステムを作つくるのはとても難むずかしく、莫大ばくだいなお金かねがかかります。アメリカは、この金融きんゆうシステムの中心的ちゅうしんてきな立場たちばを利用りようして、イランの貿易ぼうえきを止とめる強つよい力ちからを持もっています。イランは何十年なんじゅうねんもペナルティを受うけていますが、SWIFTに代かわるシステムをまだ作つくれていません。今いま、イランとアメリカの交渉こうしょうは進すすんでいません。この問題もんだいの本当ほんとうの焦点しょうてんは、ホルムズ海峡かいきょうだけではないのです。イランが貿易ぼうえきをするためのお金かねの流ながれ、つまり金融きんゆうネットワークこそが、アメリカのイランに対たいする戦略せんりゃくで最もっとも重要じゅうような部分ぶぶんになっています。