インドに住すんでいる、ある農家のうかの男性だんせいの話はなしです。彼かれは60歳さいのとき、足あしとおしりにけがをしました。その後ご、体からだの調子ちょうしが悪わるくなりました。病院びょういんで調しらべると、どちらのけがも「マイセトーマ」という同おなじ病気びょうきの症状しょうじょうだとわかりました。この病気びょうきの原因げんいんは、土つちの中なかにいる菌きんでした。彼かれの場合ばあい、2種類しゅるいの違ちがう菌きんが体からだに入はいっていました。マイセトーマは、世界保健機関せかいほけんきかん(WHO)が「顧かえりみられない熱帯病ねったいびょう」と呼よんでいる、あまり知しられていない病気びょうきの一ひとつです。

マイセトーマは、おもに農業のうぎょうの仕事しごとをする人ひとや、牛うしなどを育そだてる人ひとがかかりやすいです。土つちや植物しょくぶつのトゲでできた小ちいさな傷きずから、皮膚ひふの下したに菌きんが入はいって感染かんせんします。インドのバブラムさん(65歳さい)も、何十年なんじゅうねんもはだしで畑はたけを歩あるいていて、この病気びょうきになりました。最初さいしょは足あしにできた小ちいさなものでしたが、だんだんひどく腫はれて、うみのようなものが出でるようになりました。特とくに雨あめが降ふると、いつも症状しょうじょうが悪わるくなったそうです。この病気びょうきはゆっくりと体からだの組織そしきや骨ほねを壊こわしていくので危険きけんです。治療ちりょうも難むずかしく、ひどい場合ばあいは足あしなどを切断せつだんしなければならないこともあります。

この病気びょうきは土つちや植物しょくぶつが原因げんいんですが、インドには今いま、国くにが全体ぜんたいを調査ちょうさするシステムがありません。そのため、どこにどんな菌きんがいるのか、農業のうぎょうをする人ひとたちがどんな危険きけんにあうのか、基本的きほんてきな情報じょうほうが足たりていません。そこで、「ワンヘルス」という考かんがえ方かたが注目ちゅうもくされています。これは、人ひとと動物どうぶつ、そして周まわりの環境かんきょうの健康けんこうは、すべてつながっているという考かんがえです。専門家せんもんかたちは、この方法ほうほうでマイセトーマの問題もんだいを解決かいけつできると期待きたいしています。

マイセトーマの発生はっせいには、気候きこうも関係かんけいしています。乾燥かんそうした地域ちいきと、湿度しつどが高たかい地域ちいきでは、原因げんいんとなる菌きんの種類しゅるいが違ちがうことが多おおいです。しかし最近さいきんは、気候変動きこうへんどうや、人ひとが畑はたけに水みずを引ひくことなどで、菌きんがいる場所ばしょが変かわってきているかもしれません。この病気びょうきには、まだわからないことがたくさんあります。なぜ菌きんに触ふれても病気びょうきにならない人ひとがいるのか、どうやって正確せいかくに感染かんせんするのかなど、謎なぞが残のこっています。専門家せんもんかは、医者いしゃや科学者かがくしゃ、環境かんきょうの専門家せんもんかなどが協力きょうりょくして、この病気びょうきの対策たいさくを進すすめることが必要ひつようだと訴うったえています。