この記事は SciDev.Net の報道(CC BY 2.0)をもとにした日本語訳です。
ケニアとナイジェリアでブンディブギョ・エボラウイルスの新たな感染者が確認されたことを受け、アフリカの保健専門家らは、アフリカ連合(AU)などの汎アフリカ組織に対し、即時かつ協調した対応を取るよう求めている。
この希少なブンディブギョ株は、承認されたワクチンや治療薬が存在しない。5月15日に最初のアウトブレイクが宣言されて以来、コンゴ民主共和国(DRC)では9552人の感染が確認され、4600人以上が死亡した。
ウイルス感染が確認されたアフリカの国はこれで計4カ国となった。ウガンダでは8月に終息宣言が出されるまでに20人が感染し、2人が死亡した。また、フランスでは6月にDRCからの輸入症例1件が封じ込められている。
ケニアでは先週、9例目のエボラ感染が確認され、国内の公衆衛生、経済、社会の各分野に警鐘を鳴らした。一方、ナイジェリアでも1例が確認された。
ウガンダ保健省の感染症科学諮問委員会の元委員長であるミサキ・ワエンゲラ氏は、今回の新たな感染例は、DRCでのアウトブレイクを封じ込める努力が限界に達していることを示していると指摘する。「ナイロビやナイジェリアで発生している症例は、アフリカ連合と東アフリカ共同体(EAC)に対し、DRCでの感染拡大を収束させるために本格的に取り組むきっかけとなるべきだ」と語った。
ワエンゲラ氏は、DRC東部の複雑な治安状況が初期の封じ込めを著しく妨げたと述べる。数十年にわたる武力紛争、困難な地形、国際社会への不信感が蔓延しているためだ。同氏はAUとEACに対し、さらなる国境を越えた感染拡大を防ぐため、DRC政府と協力するよう強く求めた。「DRC東部が放置され続けることは、反政府勢力やテロの温床となるだけでなく、大流行の可能性を秘めた病気の発生地にもなっている」と付け加えた。
アフリカの医療NGO「アムレフ・ヘルス・アフリカ」のギシンジ・ギタヒCEOは、現在の状況は「警鐘ではなく、国境を越えた連携」を必要としていると述べた。同氏によると、ケニアの9症例は一つのクラスター(集団)内で発生したもので市中感染の証拠はなく、直近24時間で新たな感染者は出ていないという。さらに、「エボラは新型コロナウイルスのように空気感染するのではなく、感染者や遺体の体液、汚染された物体との接触によって感染する」と強調し、全国的なロックダウンや大規模な貿易の混乱は予想していないと述べた。
世界保健機関(WHO)も、協調した準備・対応措置の必要性を強調し、感染国への渡航や貿易を制限しないよう勧告している。
ナイジェリアでは、最近ウガンダへ渡航した女性が首都アブジャの医療施設で治療を受け、「著しく回復した」とナイジェリア疾病管理予防センター(NCDC)が発表した。10月24日の報告書によると、確定症例に関連する53人の接触者が特定され、追跡調査が行われている。ナイジェリア保健省は、ゲノム解析の結果、国内で検出されたウイルスがケニアの症例のウイルスと遺伝的に関連があることが判明したと発表。さらなる調査が必要だとしている。
ケニア保健局のパトリック・アモス局長によると、10月初旬に感染した国内初の症例(初発例)は、DRCからウガンダ経由で帰国したケニア人男性だった。男性は治療を受けたが2日後に死亡した。現在、他に8人がナイロビ市内の病院で隔離・治療を受けており、120人が検疫下に置かれている。ケニア政府は医療従事者を守るために1万回分のワクチンを要請した。
ブンディブギョ株に特化した承認済みワクチンは存在しないが、ザイール株に有効な「エルベボ」ワクチンがDRCで広く使用されている。また、ブンディブギョ株に対するワクチンの臨床試験も進行中である。WHOは10月23日、DRCで新たなワクチン臨床試験が開始されたと報告した。
アフリカ疾病管理予防センター(アフリカCDC)は、DRC、ケニア、ナイジェリアの保健当局と緊密に連携し、地域全体の監視や対応を強化している。ナイジェリアには初の症例確認から数時間以内に専門家チームを派遣し、監視、感染予防、緊急時対応などを支援しているという。また、アフリカCDCは500回分のPCR検査用品を提供し、米国の製薬会社と協力して1万回分のワクチンへのアクセスを促進している。大陸レベルでは、10月28日にアフリカ保健大臣の臨時会合が招集された。
しかし、国連合同エイズ計画(UNAIDS)のコンサルタントでもあるモガ・カマル=ヤニ氏は、感染リスクのある国々には、対応や予防に必要な資源が不足していると警鐘を鳴らす。同氏は、訓練されたスタッフが運営する検査所、接触者追跡、地域社会への情報提供などを実現するには、アフリカCDCやWHOからの技術支援を含め、直ちに資金を投入する必要があると語った。また、DRCでは誤情報が診断の遅れや医療施設への攻撃を助長していると指摘した。
イタリアの国際遺伝子工学・バイオテクノロジーセンターでは、RT-LAMP法という技術に基づいた、ブンディブギョ株用の簡易・迅速・安価な検査法が開発されている。開発責任者のアレッサンドロ・マルチェッロ氏は、「高度な実験設備がない環境でも検査を身近なものにすることが目的だ。アウトブレイクを制御するには早期の検査が不可欠だ」と語った。